健康に関する記事をUpします。記事を書いたのはタラ・パーカー=ポープ(Tara Parker-Pope)さんです。元記事はここにあります。
なぜ痩せるのが困難なのかと言う記事です。
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肥満の罠
ジョセフ・プロイエット(Joseph Proietto)は15年間と言うもの、人々が体重を落とすのを助けてきた。オーストラリアにある彼の減量クリニックを訪ねて来る時、太った患者たちは皆、痩せる事を決意している。そしてプロイエットの話しでは、殆どの患者が言われた通りの事をする。クリニックのプログラムを守って余分な体重を落とす。しかしその後、殆ど例外無く、徐々に体重は戻って行くのだ。数か月、あるいは数年の内に、全ての努力は水泡に帰し、患者は又太ってしまう。「何時も不思議に思うんだが、」メルボルン大学の内科医であるプロイエットは言う。「みんな、体重を減らす事に熱心な人々で、大きな問題も無く減量を達成するんだ。それでも、避けようもなく徐々に彼らは体重を増やしてゆく。」
一度でもダイエットをした事がある人間なら知っ� ��いるが、落ちた体重はしばしば元に戻る。殆どの人間はその理由を規律の欠如とか意志の弱さに求める。しかしプロイエットはそれ以上のものが有るのではないかと考えている。そして彼は、体重が減った後の体の状態について生物学的に詳細に見てみようと決断した。
2009年から、彼と彼のチームは50人の太った男女を集めて実験を始めた。男性は平均体重が223ポンド(約106Kg)、女性は200ポンド(約91Kg)。数人は途中で研究を抜けたが、殆どの被験者は極端なロー・カロリーダイエットを維持した。食事はオプティファスト(Optifast)と呼ばれるスペシャル・シェイク飲料および2カップのロー・スターチ野菜で構成され、8週間の平均で1日500から550キロカロリーと言うものだ。10週目に入ると、被験者は平均30ポンド(約14Kg)体重を減らした。< /p>
その時点で残った34人の被験者はダイエットを止めて、新しく減った体重で仕事を始める。栄養士が面談や電話でカウンセリングを行い、定期的なエクササイズを監督し、低脂肪で野菜の多い食事を勧めた。しかしこういった努力をしても、彼らの体重は徐々に増え始める。1年後、被験者は、そんなにもして減らした体重の内、平均11ポンド(約5Kg)も取り戻していた。被験者は又、体重を落とす前より、強く飢えを感じ、食べ物に心を奪われるようになったと報告している。
何十年も前から研究者達は、体重が減って行く間、体のメタボリックやホルモンには種々の変化が起きる事を承知している。しかしオーストラリア・チームは新たな発見を追加した。大きな体重減少の後、丸1年経っても、被験者の男女は生物学的に変更され� ��状態にあった。依然として贅肉を蓄えた彼らの体は、飢餓状態にあり、失った体重を取り戻そうと長時間働いている。例えば、よく「空腹ホルモン」と呼ばれる胃のホルモン、グレリン(ghrelin)は研究開始時よりも約20%高い値を示した。空腹を抑える働きをする別のホルモン、ペプチドYYは異常に低い数値を示した。レプチン、やはり空腹を抑えメタボリックを促進するホルモンの値も予想より低かった。その他、空腹とメタボリックに関わる種々のホルモン全てが、ダイエット前のレベルと比べて大きく変わっている。体重減少はメタボリックに関して、体を独特な状態に変えてしまっているように見える。いわばダイエット後症候群とも言うべきものが、そもそもタイエットを試みなかった人々と被験者を違う存在にしてしまっている� ��だ。
「私達が目の当りにしているのは、調整された防御メカニズムだ。数多くのコンポーネントが体重を増やす方向に働いている。」プロイエットは言う。「私の考えでは、この事実は肥満対策の低い成功率を説明していると思う。」
プロイエットと同僚達の発見は去年秋にニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンで発表された。しかしこれは決定的なものでは無い。実験は小規模だし、発見された症状は再現されなければならない。しかしこの研究は体重減少に関わるコミュニティーにちょっとした騒ぎを起こした。肥満と減量と意志の力に関する伝統的な考えに挑戦する証拠、次第に増加しつつある証拠に、又新たなものが追加されたのだ。何年もの間、体重超過や肥満に対する助言は、ただ単に、より少な く食べて運動量を増やせと言うものだった。このガイダンスには真実が含まれているが、そこには、ダイエットを止めた後も長い間、人間の体は体重減少と戦い続けていると言う認識が欠けている。これを言い換えると憂鬱な現実が導き出される。ひとたび肥満に成ると、殆どの人間は、最善の努力をしても、太ったままであり続けると言うものだ。
私は常に、体重を減らしたままに出来ない自分の無能さに戸惑ってきた。私は体重減少の医学的利点を理解しているし、砂糖入りソーダ・ドリンクやファースト・フードを避けてきた。定期的に運動もしている。数年前にはマラソンを完走しさえした。しかし大学を卒業してから23年間、時には10ポンドから20ポンド減らした事もあったが、少しの間それを維持できても、や� ��て全て元通りになり、さらに重くなるのだ。今や軽く60ポンドは体重オーバーと成っている。
子供の頃私は体重オーバーでは無かった。私の母は体重が150ポンドから250ポンドの間を行ったり来たりしていたが、母はいつもダイエットをしていた。私には、母がダイエットをしているか、あるいは母自身が言うところのダイエットを騙しているか、どちらかの記憶しか無い。時として私達は健康的なバランスのとれた食事をした。そうで無い時の夕食はケンタッキー・フライドチキンのバケットとかだった。高校のクロスカントリー走者だった時、私は体重を気にした事が無い。しかし大学時代、勉強時間とか社交時間とかの合間を縫ってしかトレーニングをしなかった結果、体重はゆっくりと上がり始めた。大人になってからは、多� �の親族たちと同様、私と3人の姉妹達は体重に苦闘するようになる。母は6年前食道ガンで他界した。死ぬ前に近くの医学学校が、臓器提供の申し出を、肥満を理由に断ってきた事は、母の最大の悔いだった。
私に配られた生物学的カードは最初から良くないものだった可能性はある。研究者達は、肥満が家族に広がる傾向があるのを知っている。最近の研究は、高カロリーの食物を好む傾向さえもが遺伝に影響されている事を示唆している。しかしどこまでが遺伝であり、どこまでが家族の食習慣から来たものかを解きほぐす事は困難だ。明らかなのは特定の人々が他の人々よりも、余分な脂肪を蓄えやすいと言う事だ。
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