2012年4月12日木曜日

海外記事翻訳ブログ By Zonoshin ファット・トラップ


健康に関する記事をUpします。

記事を書いたのはタラ・パーカー=ポープ(Tara Parker-Pope)さんです。元記事はここにあります。

なぜ痩せるのが困難なのかと言う記事です。

〜〜ここから〜〜

肥満の罠

ジョセフ・プロイエット(Joseph Proietto)は15年間と言うもの、人々が体重を落とすのを助けてきた。オーストラリアにある彼の減量クリニックを訪ねて来る時、太った患者たちは皆、痩せる事を決意している。そしてプロイエットの話しでは、殆どの患者が言われた通りの事をする。クリニックのプログラムを守って余分な体重を落とす。しかしその後、殆ど例外無く、徐々に体重は戻って行くのだ。数か月、あるいは数年の内に、全ての努力は水泡に帰し、患者は又太ってしまう。「何時も不思議に思うんだが、」メルボルン大学の内科医であるプロイエットは言う。「みんな、体重を減らす事に熱心な人々で、大きな問題も無く減量を達成するんだ。それでも、避けようもなく徐々に彼らは体重を増やしてゆく。」

一度でもダイエットをした事がある人間なら知っ� ��いるが、落ちた体重はしばしば元に戻る。殆どの人間はその理由を規律の欠如とか意志の弱さに求める。しかしプロイエットはそれ以上のものが有るのではないかと考えている。そして彼は、体重が減った後の体の状態について生物学的に詳細に見てみようと決断した。

2009年から、彼と彼のチームは50人の太った男女を集めて実験を始めた。男性は平均体重が223ポンド(約106Kg)、女性は200ポンド(約91Kg)。数人は途中で研究を抜けたが、殆どの被験者は極端なロー・カロリーダイエットを維持した。食事はオプティファスト(Optifast)と呼ばれるスペシャル・シェイク飲料および2カップのロー・スターチ野菜で構成され、8週間の平均で1日500から550キロカロリーと言うものだ。10週目に入ると、被験者は平均30ポンド(約14Kg)体重を減らした。< /p>

その時点で残った34人の被験者はダイエットを止めて、新しく減った体重で仕事を始める。栄養士が面談や電話でカウンセリングを行い、定期的なエクササイズを監督し、低脂肪で野菜の多い食事を勧めた。しかしこういった努力をしても、彼らの体重は徐々に増え始める。1年後、被験者は、そんなにもして減らした体重の内、平均11ポンド(約5Kg)も取り戻していた。被験者は又、体重を落とす前より、強く飢えを感じ、食べ物に心を奪われるようになったと報告している。

何十年も前から研究者達は、体重が減って行く間、体のメタボリックやホルモンには種々の変化が起きる事を承知している。しかしオーストラリア・チームは新たな発見を追加した。大きな体重減少の後、丸1年経っても、被験者の男女は生物学的に変更され� ��状態にあった。依然として贅肉を蓄えた彼らの体は、飢餓状態にあり、失った体重を取り戻そうと長時間働いている。例えば、よく「空腹ホルモン」と呼ばれる胃のホルモン、グレリン(ghrelin)は研究開始時よりも約20%高い値を示した。空腹を抑える働きをする別のホルモン、ペプチドYYは異常に低い数値を示した。レプチン、やはり空腹を抑えメタボリックを促進するホルモンの値も予想より低かった。その他、空腹とメタボリックに関わる種々のホルモン全てが、ダイエット前のレベルと比べて大きく変わっている。体重減少はメタボリックに関して、体を独特な状態に変えてしまっているように見える。いわばダイエット後症候群とも言うべきものが、そもそもタイエットを試みなかった人々と被験者を違う存在にしてしまっている� ��だ。

「私達が目の当りにしているのは、調整された防御メカニズムだ。数多くのコンポーネントが体重を増やす方向に働いている。」プロイエットは言う。「私の考えでは、この事実は肥満対策の低い成功率を説明していると思う。」

プロイエットと同僚達の発見は去年秋にニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンで発表された。しかしこれは決定的なものでは無い。実験は小規模だし、発見された症状は再現されなければならない。しかしこの研究は体重減少に関わるコミュニティーにちょっとした騒ぎを起こした。肥満と減量と意志の力に関する伝統的な考えに挑戦する証拠、次第に増加しつつある証拠に、又新たなものが追加されたのだ。何年もの間、体重超過や肥満に対する助言は、ただ単に、より少な く食べて運動量を増やせと言うものだった。このガイダンスには真実が含まれているが、そこには、ダイエットを止めた後も長い間、人間の体は体重減少と戦い続けていると言う認識が欠けている。これを言い換えると憂鬱な現実が導き出される。ひとたび肥満に成ると、殆どの人間は、最善の努力をしても、太ったままであり続けると言うものだ。

私は常に、体重を減らしたままに出来ない自分の無能さに戸惑ってきた。私は体重減少の医学的利点を理解しているし、砂糖入りソーダ・ドリンクやファースト・フードを避けてきた。定期的に運動もしている。数年前にはマラソンを完走しさえした。しかし大学を卒業してから23年間、時には10ポンドから20ポンド減らした事もあったが、少しの間それを維持できても、や� ��て全て元通りになり、さらに重くなるのだ。今や軽く60ポンドは体重オーバーと成っている。

子供の頃私は体重オーバーでは無かった。私の母は体重が150ポンドから250ポンドの間を行ったり来たりしていたが、母はいつもダイエットをしていた。私には、母がダイエットをしているか、あるいは母自身が言うところのダイエットを騙しているか、どちらかの記憶しか無い。時として私達は健康的なバランスのとれた食事をした。そうで無い時の夕食はケンタッキー・フライドチキンのバケットとかだった。高校のクロスカントリー走者だった時、私は体重を気にした事が無い。しかし大学時代、勉強時間とか社交時間とかの合間を縫ってしかトレーニングをしなかった結果、体重はゆっくりと上がり始めた。大人になってからは、多� �の親族たちと同様、私と3人の姉妹達は体重に苦闘するようになる。母は6年前食道ガンで他界した。死ぬ前に近くの医学学校が、臓器提供の申し出を、肥満を理由に断ってきた事は、母の最大の悔いだった。

私に配られた生物学的カードは最初から良くないものだった可能性はある。研究者達は、肥満が家族に広がる傾向があるのを知っている。最近の研究は、高カロリーの食物を好む傾向さえもが遺伝に影響されている事を示唆している。しかしどこまでが遺伝であり、どこまでが家族の食習慣から来たものかを解きほぐす事は困難だ。明らかなのは特定の人々が他の人々よりも、余分な脂肪を蓄えやすいと言う事だ。


いつ、どのように糖尿病が発見されたのですか?

1990年代にカナダの研究者、クラウディ・ボウチャード(Claude Bouchard)とアンジェロ・トレンブレイ(Angelo Tremblay)が発表した重要な研究がある。その研究は、31組の男性の双子を対象にしていた。年齢は17歳から29歳で、被験者は実験で過食とダイエットを繰り返した。(家族歴とBMIから見て、誰一人として肥満の危険があるものはいなかった。)ある研究では12組の双子が大学の寮で24時間観察の対象とされた。彼らは1週間の内6日間、1日あたり1000キロカロリー余分に摂取し、残る1日は普通に食べる事を許された。彼らは読書したりビデオ・ゲームをしたり、カードで遊んだりテレビを見たりしたが、運動は1日30分の散歩に制限された。120日間の研究を通して、双子たちは基本的必要量から84000キロカロリー余分な栄養を消費した。

実験が行った大食パーティーを体重の増加に翻訳すると、だいたい24ポンドに相当する(3500キロカロリーで1ポ� �ドの計算による)。しかしある者は10ポンド以下しか増加せず、ある者は29ポンドも増加した。体重の増加量と、脂肪の付き具合は双子の間では似通った結果になり、別の双子との間ではかなりの変化が見られた。例えば幾人かの双子は、他の双子より胴回りに付いた脂肪が3倍多かった。研究者達は同じような実験を運動についても行い、逆のパターンを得た。同じ運動メニューを行いながら、幾人かの双子は他の者より多く体重を減らした。この発見は、体重の増加と減少の傾向を決める「生物学的運命論」の形成を示唆すると研究者達は書いている。

少なくとも肥満に関する幾つかのリスクが遺伝的である事は広く合意されている。しかし、それを引き起こす遺伝子の特定は非常に困難だ。2010年10月、ネイチャー・ジェネティック 誌は、肥満とBMIに関連すると思われる32種の遺伝子を研究者が特定したと報告した。その中で最も一般的な種は、況薪尿病を研究していた英国のチームが2007年4月に特定したものだ。エクセター大学の生物医学診療科学学科(Institute of Biomedical and Clinical Science)のティモシー・フレイリング(Timothy Frayling)によれば、FTOと呼ばれる種の保持者は肥満に対し大きなリスクを負っていると言う。その種の1つを持っている場合肥満に成る確率が30%高く、2つとも持っている場合は60%高いと言う。

このFTOは驚くほど一般的な種だ。ヨーロッパ系およびアフリカ系の約65%、およびアジア系の27%から44%が、少なくとも1つの種を保持していると言う。科学者は、FTO種がどのようにして体重増加に影響を与えているのか解明してはいない。しかし子供を対象にした研究では、食習慣に影響を与えている事を示唆している。2008年にスコットランド、ダンディー大学(University of Dundee)でコリン・パーマー(Colin Palmer)が指導して行ったある実験では、スコットランド人の学童へ、オレンジ・ジュースとマフィンのおやつが与えられた。おやつの後、子供達はバッフェで、グレープ、セロリ、ポテトチップ、ボタン・チョコレートをどれでも食べてよいと言われる。全ての食品は研究者に注意深くモニターされ、どれがどのくらい消費されたか正確に計られた。全ての子供達は大体同じくらいのグラム数の食品を食べたが、FTO種を保持した子供は、脂肪やカロリーを多く含むものを食べる傾向があった。彼らはガッついてはいなかったが、この遺伝子を持たない子供に比べて約100キロカロリーほど多く消費していた。そしてこの遺伝子種を保持した子供は、そうで無い子供に比べて、約4ポンドほど多くの脂肪を蓄えていた。

私は自分の家族が遺伝� ��に肥満しやすいのかどうか、唾液サンプルを送ってDNAテストしてみたい衝動に駆られた。しかしそのテストが仮にネガティブであったとしても、それは既知で検証可能な肥満リスクを家族が持っていない事を意味するだけなのだ。最近英国のテレビ・ショー「Embarrassing Fat Bodies(恥ずべき肥満体)」という番組で色々な人の肥満遺伝子テストをフレイリングの研究室に依頼した。そして、とても太ったある家族が平均以下の肥満リスクしか持っていないと言う結果が出ている。

遺伝子がポジティブだと、遺伝的に太りやすい事になる。それは自己満足をもたらしてくれるかも知れない。2月に発行されたニュー・イングランド・オブ・メディシンは、各種の病因に関する遺伝子テストが、人間の気持ちや健康に関する習慣にどのような影響を与えるか報告している。全体として研究者は、病気リスクテストによる影響を発見できなかった。しかし、有意な統計結果は得られなかったが、肥満遺伝子がポジティブの被験者の内、以前より脂肪の多い食事を好むようになった人々の事が報告されている。おそら� �これらの人々は、太る事は遺伝的な宿命であり、それに抗うのは意味が無いと考えたのではないか。

自分の遺伝的リスクを知る事は好奇心を満たしてくれるものではある。しかしまた、遺伝的因子は、良く言っても自分の体重オーバーの原因の一部でしか無いことを私は知っている。私が本当に知りたいのは、今自分に何が出来るのかなのだ。

ナリョナル・ウェイト・コントロール・レジストリは体重を落としてそれを維持し続けている人間1万人の記録をつけている。「私達がこのレジストリを作ったのは、体重減少に成功した人は誰もいないと言う発言に答える為です。」ブラウン大学、アルパート医療学校の精神医学・人間行動学の教授、レナ・ウィング(Rena Wing)は言う。彼女は、デンバーにあるコロラド大学、人間栄養センターのディレクター、ジェームズ・O・ヒルと共にレジストリの作成を助けた人物だ。「私達の目標は2つ、減量を達成した人が居るのを証明する事、そして長期間の減量を達成する為に彼らが何をしているのかを学ぶ事です。」誰でも30ポンド以上の減量を達成して1年以上それを維持している人はレジストリに参加する資格がある。しかし平均的メンバーは70ポンドの減量をして6年以上それを維持している。

ウィングも、減量を困難にするような心理学的変化が起きる事に同意している。しかし彼女はより大きな問題は環境にあると言う。人々が減量に苦労するのは、食べ物に取り囲まれているからだという。私達の周りには食べ物に関連するメッセージが溢れていて� �いつでも食べる機会がある。「私達はいつも食物の刺激に取り囲まれているのです。」ウィングは言う。「私達は、自分に報いる方法の1つは食べ物を与える事だと、自分たち自身に教え込んできたのです。環境や行動を変えるのはとても難しいのです。」


どのようにスター·ジョーンズ·レイノルズは彼女の体重を失った

レジストリに登録された人々が体重を減らす方法に一定のパターンは無い。ある人はウェイト・ウォチャーを使って痩せ、ある人はジェニー・クレイグ(Jenny Craig:減量トレーニング・センターの設立者)と共に痩せ、ある人はアトキンズ・ダイエットで炭水化物を減らした。極めて少数ながら手術で体重を減らした人もいる。しかし彼らの食事と運動の習慣は、研究者が実験室で発見した内容に沿っている。体重を減らし維持するには、自然な体重のままでいる人よりも、少ないカロリーではるかに多い運動を続けなければならない。レジストリのメンバーは1日1時間以上の運動をしている、平均して1日4マイル歩くのに相当する運動を週七日間だ。体重を狭い範囲に収める為、毎日秤に乗っている。朝食は常にとっている。普通の人が1日に見る時間の約半分しかテレビを見ていない。同じような食事を一貫して毎日続けて、週末とか祭日も手を抜かない。又、殆どの人より少ないカロリーしか食� �ない。だいたい50キロカロリーから300キロカロリー少ない範囲にいる。

イエール大学にあるラッド・センター・フォア・フード・ポリシー・アンド・オベジティーのディレクターであるケリー・ブラウネル(Kelly Brownell)は、レジストリに登録された1万人は有用なリソースではあるが、彼らは体重を減らそうとして失敗した何千何百万もの人々から見ると、僅かなパーセンテージを代表しているにすぎないと言う。「レジストリが意味しているのは、彼らが低い体重を維持できている稀な人々であると言う事実だけだ。」とブラウネルは言う。「このレジストリを参照する人は誰でも、彼らがとてつもなく勤勉に体重を維持している事を発見するだろう。何年たっても、彼らは全てのカロリーに気を付け、1日1時間運動に費やしている。体重を意識しない時が無いのだ。」

5年に渡って135ポンドの減量を維持する事に成功しているレジストリ・メンバーのジャニス・ブリッジ(Janice Bridge)は完璧な実例だ。「一番難しいのは、」彼女は言う。「どんな瞬間でも注意を怠れない事なのよ。私だって何時も食べ物の事を考えているわけではないわ。でも何時も食べ物の事を意識しているの。」

カリフォルニア州デービスに住む66歳のブリッジは子供の時から体重オーバーだった。そして14歳の時、初めてダイエットをした。1日1400キロカロリーのダイエットだった。その当時、彼女の体重減少が遅かった為、ズルしているだろうと医者から責められた。友達は彼女が食べ物に注意を払って無いに違いないと言った。「私が言われた通りにしてるって誰も信じてくれなかったのよ。」彼女は言う。「それがどれだけガッカリする事か判るでしょう。それで反抗心と怒りが積みあがっていったのね。」

2004年にピークとなる 330ポンドを記録してから、彼女は再度減量に取り組んだ。なんとか30ポンド減らしたがそこで留まった。2006年60歳の時、彼女は医療監視体重減少プログラムに夫のアダム(Adam)と共に参加した。夫はその当時310ポンドだった。800キロカロリーダイエットを9カ月続けて、彼女は165ポンドまで下がった。アダムは大体110ポンド減らして、現在約200ポンドだ。

減量の最初の年、ブリッジは食べられる量の上限をテストした。多く食べてしまった時は運動する量を増やした。2009年母親が死んだ時、気をそらしてしまい食べ物に不注意になって30ポンド戻ってしまった。彼女は今、最高で195ポンドの体重を維持する事に決めている。それでも最高時に比べて135ポンド減だ。

「今の私は、2〜3ポンド増えても、習慣を大きく変えずに何とか出来る わ。」彼女は言う。「この体重に留まるのは本当に大変なのよ。でもその価値はあると思う。体に良いし快適だもの。でも私の体はちょっと緩むと直ぐに重く成るのよね。」

だから彼女は緩む事が無い。2006年10月から毎朝彼女は体重を測り、体重日記にそれを記録する。旅行先にまで体重計を持って行く。この6年間例外は1件だけ、ハワイへの2週間、秤を持って行かなかったバケーションの時だけだ。

彼女は又、台所にある全ての物を測る。レタスは1カップ約5キロカロリーで小麦粉は約400キロカロリーだ。夜に外食する時は、予めメニューをWebで調べてカロリーを計算し、オーダーする時の参考にする。どんなものでも砂糖や精白粉を避ける。彼女は砂糖や精白分を「ゲートウェイ・ドラッグ」と呼んでいる。自分に食物への切 望や過食をもたらす麻薬なのだ。彼女は又、大量の水を飲むことが助けに成る事を見つけた。20オンスの水筒を持ち歩き、1日に5回補充する。彼女は食べた全ての物を書き記す。夜にはそれをパソコンに打ち込む。アダムも同じような記録を持っているが、彼は紙と鉛筆に留め置く事を好んでいる。

「あの打ち込み作業はとても重要なのよ。自分に対する証明なの。」彼女は言う。「その日食べた全てのカロリーとタンパク質の量が出てくるの。毎晩それで少し自分を分析するのよ。」

ブリッジ夫妻はセラピストの助けも借りている。ジャニスは自分のセッションで、退屈したりストレスを感じたりしている時、自分は食べ過ぎる癖があるのを学んだ。「自分たちの文化が、食べる事にあらゆる理由を付けている事を、ずいぶんと� ��んだわ。栄養とは全く関係の無い理由をね。」ブリッジは言う。

ブリッジは注意深い食事と共に厳格な運動メニューも維持している。彼女は1日100分から120分、週6日から7日運動する。しばしば自転車でジムへ行ってウォーター・エアロビクスのクラスを受ける。自宅でランニング・マシーンを使ったり、リカンベント・バイク(recumbent bike:後ろに寄りかかりながらこぐ3輪自転車)で犬を「散歩」に連れて行ったりする。彼女の犬は背の低い3輪自転車の横を走るのが大好きだ。彼女はガーデニングを趣味として楽しんでいるが、運動として計算に入れるのは「熱心にガーデニング」する必要がある時だけにしている。アダムもやはり運動を自分に課していて、1日2時間、週5日は自転車に乗る。

ジャニス・ブリッジは何年にも渡る自分の食事と運動のデータをつかって個人的な燃費効率を計算した。彼女は自分が、ガーデニングの時は毎分3キロカロリー、リカンベント・バイクとウォーター・エアロビクスの時は毎分4キロカロリー、通常の自転車で町を疾走する時は毎分5キロカロリー消費する事を知っている。

「実際は皆、自転車は毎分11キロカロリーだって言う� �思う。」彼女は言う。「でも私の体は違うの。私が自分でつけた数字から出したんだから。」


あなたのボールはdropedたときに方法を知っている

彼女は、減量クリニックや自分の統計数字から集めたメタボリズム・データを元にして、今の体重195ポンドを維持するには、1日2000キロカロリー食べて500キロカロリー運動で消費すれば良い事を発見した。彼女はジャンク・フードやパン、パスタを避け、接収カロリーの3分の1をタンパク質で取るようにしている。ブリッジ夫妻は時としてデザートをシェアしたり、ベン&ジェリーのアイス・クリームを1人ずつ食べたりする。2人とも正確にどれだけのカロリーを消化しているのか知っているのだ。彼女は何時でも誤差が紛れ込む事を知っている。例えば雨で運動を短くしたり、スナックの重さを測り間違えて知らないうちにカロリーを余分に取っ たり。それで彼女は1日に1800キロカロリーしか取らないようにしている。(彼女と同じような年齢と体型の活動的な女性に対する平均的な推定値は1日2300キロカロリーだ。)

体重を維持する為に必要な努力をブリッジに聞くだけで疲れてしまいそうだった。彼女の話はとても刺激的だと思ったが、私にも出来るかどうか自信が無かった。私は何回か、食事と運動の日記を付けようとしてみた(一番最近では2週間前に試みた)。しかし挫折はあまりにも容易に訪れた。私は実際のところ、体重や食事の量を測る時間さえ作り出せそうも無かった。仕事を終わらせて、娘をダンス・レッスンやバレーボールの練習に連れて行く合間には、夕食をかきこむ時間しか残されてない日が度々あった。30分から40分の運動なら楽しんでできるが、6ヵ� �のマラソンのトレーニングを通して判ったのは、運動に1時間から2時間かけると、あり得ない程の高い犠牲を家族に求めねばならない事だった。

ブリッジも、子供が成長していて、自分が仕事を引退している事が、体重に集中する事を容易にしていると述べている。「子供が3人とも一緒に住んでいたら、こんな事を出来るかどうか判らないわ。」彼女は言う。「自分たちがどれだけ普通じゃ無いかも判ってる。減らした体重を維持する為にしなければならない事の多さに怒り出すのはとても簡単よ。しかしやらなければ減らした体重は維持できないのよ。」

「私が思うに、減量の前で躊躇している人は、そのままだとどうなるか充分理解していないんだ。そして医療関係者もそれを充分には説明していない。」ニュ� �・ヨーク、コロンビア大学の肥満研究者、ルドルフ・リーベル(Rudolph Leibel)は言う。「私達は人々から希望を取り上げたいわけでは無い。しかし人々が生物学的システムに背いている事を理解させたいんだ。そして生物学的システムは次第に人々を困難に陥らせようとしている。」

リーベルと同僚のマイケル・ローゼンバウム(Michael Rosenbaum)は減量に対する体の反応について私達が知っている多くの知識のパイオニアだ。25年に渡って、彼らは約130人の被験者について6ヵ月からそれ以上の期間、綿密な追跡調査をした。被験者は彼らの研究クリニックに住み、体の隅々まで測定された。体脂肪はX線スキャンで測られた。特別なフード付きモニターで、酸素の消費量と2酸化炭素の排出量を測り、メタボリックを正確に測定した。消化活動中に消費されるカロリーも追跡した。運動テストで最大心拍数を測り、血液テストでホルモンや脳内化合物の量を測った。筋肉の生体組織検査でメタボリックの効率を分析した。(研究当初は、検便サンプルさえ採取され、未計測カロリーが無い事を確認した。)検査で不便をこうむる参加者には5000ドルから8000ドルが支給された。

� ��終的にコロンビア大学の被験者は、体重が10%減るまで、1日800キロカロリーのリキッド・ダイエットを行う。目標に到達した被験者は、その体重を維持している間、同じような集中的テストに晒される。この実験で得られたデータは、体重の10%を減らした人間は、性別に関係なく、同じサイズで自然にその体重で居る人間とは、メタボリック的に異なる存在である事を示唆している。

この研究によれば、体重減少が体に与える影響は、250キロカロリーから400キロカロリーの巨大なハンディキャップであると言い換えられる。例えば、コロンビアの研究に参加した時230ポンドで、その体重を維持する為に1日3000キロカロリー食べていた女性がいるとする。彼女が約17パーセント体重を減らして190ポンドに成った時、メタボリック研究で� ��、その体重を維持する為には、1日2300キロカロリーで過ごさなければならないと導き出される。それは結構な量に思えるかも知れないが、30歳で190ポンドの典型的な女性が体重を維持するには2600キロカロリーで良く、ダイエットでその体重に到達した女性より300キロカロリー余分に消費できるのだ。

科学者は、何故体重が減少した体が同じサイズでダイエットしてない体と振る舞いが違うのか依然研究中だ。減量前、減量中、減量後に行われた筋肉の生体組織検査は、体重が落ちると筋肉線維が変質してゆく事を示している。より高い効率性を持った「スロウ・トゥウィッチ(slow twitch:ゆっくり収縮する)」筋肉線維に変容する。その結果、体重が減った後だと自然に同じ体重でいる人と比べて、毎日の普通の活動とか軽いエアロビック・エクササイズのような運動で、筋肉は20から25%少ないカロリーしか燃やさなくなる。つまり、30分の早歩きで200キロカロリー燃やしていると思っているダイエッターは、おそらく150から160キロカロリーしか燃やしていない事に成る。

その他の、体重減少に対して体がとる対抗策は、脳の食べ物に対する反応を変更する事だ。ローゼンバウムと彼の同僚でやはりコロンビア大学の神経科学者ジョイ・ヒルシュ(Joy Hirsch)は、減量前と後で脳のMRIパターンを取り、グレープとかグンミ・ベア・チョコレート、ブロッコリ、携帯電話、ヨーヨーなどを見た時の被験者の反応を調べた。減量後の被験者が食物を見た時、脳の報酬系がより強く反応し、抑制系は少なくしか反応していない事をスキャン結果は示した。この事は体が、減量前の体重に戻るために、食物により強く反応させる事で欲求を注入し、高カロリー食に抵抗する意志力は弱めようとしている事を示唆している。

「体重が減った後、脳はより強く食べ物に反応するようになる。」ローゼンバウムは言う。「もっと食べたくなるんだ。だけど脳の中で抑止を司る部分は不活発になる。」それらの要因に加えて、体の方は以前より少ないカロリーしか燃焼しない。「だから、体重を元に戻す� �の、完璧な災厄(perfect storm)となるのさ。」と彼は言う。この状態がどれぐらい長く続くのか未だ判らない。しかしコロンビア大学における予備調査では、体重減少の6年近く後でも、前のもっと重い体重を守ろうとして、体が想定より少ないカロリーしか燃焼しない状態が変わっていなかった。この状態は永遠にさえ続くのかも知れない。(同じ現象は痩せている人が体重を10%減らしても起きる。体は重い体重へ戻ろうとする。)しかしそれは体重を減らして維持する事が不可能で有る事を意味しない。とても困難で有る事を意味しているだけだ。


ピッツバーグに住む48歳の女性、リン・ハラルドソン(Lynn Haraldson)は2000年に300ポンドに到達してしまった。彼女はウェイト・ウォッチャーに参加し、その5フィート5インチの体を、一時的に125ポンドにする事が出来た。今日彼女はナショナル・ウェイト・コントロール・レジストリの一員であり、生活を体重の管理に捧げて140ポンドを維持している。彼女は菜食主義者になり、毎日何を食べているか書き留めている。少なくとも週5日は運動し、体重管理の困難さをブログしている。以前ジャーナリストでアンティークのディーラーでもあった彼女は、学校に戻り栄養と健康の為の2年間のプログラムを受講した。彼女はダイエット・カウンセラーになろうと計画している。彼女はまた、自分の食事に「異常に注意する(hypervigilant)」のを止められない事を受け入れている。「あらゆるものは変わるのよ� ��」彼女は言う。「私の体重はもう何回も上下を繰り返したの。私は何時だって『普通』に戻れるって考えていたわ。でも私は新しい普通を作り上げなければいけなかったのよ。それがどんなに難しいか聞きたい人はいないでしょうけどね。」

まだハッキリしていないのは、体重が増えた後、生物学的な反発を起こさずに体重を減らせるような、一定の期間があるかどうかだ。多くの人が一時的な体重増加を経験している。休暇中に一時的に体重が増えたり、大学新入生の時に10ポンドから20ポンド増えて、又元に戻ったり。俳優のロバート・デ・ニーロ(Robert De Niro)は「レイジング・ブル(Raging Bull)」の役作りで体重を増やした後、又減らした。フィルム・メーカーのモーガン・スパーロック(Morgan Spurlock)も「スーパーサイズ・ミー」の製作中増やしていた体重を後で減らしている。リーベルによれば、これらの一時的増加が永遠のものになるかどうかは、その人物の肥満に対する遺伝リスクと、おそらくは、体重を減らす前、重かった時間の長さに依存すると言う。しかし研究者は未だ、重い体重を永遠のものとして体がリセットするまで、どの位の時間がかかるのか知らない。良いニュースとしては、それは多分一晩では起きないだろうと言う事だ。

「マウスによる実験では、その期間は約8ヶ月といったところだ。」リーベルは言う。「その前であればあまり大きな調節を加えなくても、太ったマウスはもとの痩せたマウスに戻る。私達は未だ人間に対してはわからない。しかしその期間は月単位では無く年単位の時間である� �ろうと確信している。」

誰も太りたいとは思わない。現代の文化では、例えその人が健康であっても、(例えば私はコレステロールと血圧が低く、心臓は異常なほど健康だ、)太っていると意思が弱く怠け者だと受け取られやすい。そして恥ずかしいとも感じる。あるパーティーの席で私は、権威ある作家で、私の仕事が健康関連だと知っている人物と会った。「あなた、予想してたのと印象が違うわね。」彼女は目を見張りながら言った。私と交際中の男性が、おそらくは助けようとして、「もっと痩せていると思ったんでしょう?」と言った。私は消えてしまいたかった。しかし相手の女性は優雅に言った。「違うわ。」彼女は男性をにらみ付け、私の手を暖かく握りしめながら言った。「もっと年取っていると思ったのよ。」

それが何であれ、肥満に対して新たに判りつつある科学的知識は、太った人に対する偏見を再考するべきであると私達に教えている。私自身を含めて、体重超過の人々が、体が必要とする量と比較して余りにも多いカロリーを食べてしまった為にこうなった事は真実だ。しかし各個人において、どのぐらいの量が多すぎるのかは、数多くの遺伝的、生物学的要因が関わっている。体重を減らすのは明らかに激しい試練だ。私達は飢えや食欲とだけ戦っているのでは無い、自分自身の体とも戦わなければいけないのだ。

体重を減らす事に関する公共の場での議論は、どのダイエットが最も効果があるかと言う話題に傾きがちだ(アトキンス?ジェニー・クレイグ?菜食中心?地中海型?)。しかし実際にやってみて失敗した人たちは、� �単な回答など無いことを知っている。プロセス・フードに含まれる脂肪や砂糖、それに炭水化物などは、この国の肥満問題の最も疑わしい容疑者だ。しかし人間1人1人の反応はとてつもなく多種多様なのだ。

肥満を、心理学的病気では無く、主に生物学的病気であると見る事は、その治療に対する考え方の変更を迫る。コロンビア大学の科学者は、幾つかの小規模な研究を行った。体脂肪から作り出したホルモン、レプチンを人間に注射する事で、体の体重減少に対する抵抗を抑える事ができるかどうか研究している。幾つかの小規模な実験ではレプチン注入は、未だ太っていると体に誤認さえる効果があった。被験者がレプチン注入後に運動したところ、より多くのカロリーを燃焼させている。そして脳スキャンも、レプチン注入が 脳の食べ物に対する反応を変更し、食欲を弱めさせている事を示している。しかしこのような治療法が商業的なものになるには後何年もかかる。今のところ、体重を減らして維持したいと考えている私達のような人間は、自分の力でやるしか無い。

多くの研究者が抱いている一つの疑問は、科学実験でしばしば行われるような急激な体重減少ではなく、ゆっくりとした減少ならより体重を維持しやすいのではないかと言う疑問だ。リーベルはしかし、体重減少の早さは余り違いを生みそうも無いと言う。何故なら、体の警戒システムは体がどれくらいの脂肪を減らしたかに依存していて、どれぐらい早く減らしたかには依存していないと言う。そうであっても、プロイエットはゆっくりとした体重減少を行う研究をしており、ダイエッ ト中の被験者を1年ではなく3年に渡って調査している。

体重を減らす事の困難さを考慮すれば、公衆衛生の観点からは、体重増加を防ぐ方へリソースを振り向けるべきであるのは明らかだ。研究結果は、児童に運動と健康的な食事を奨励する事の重要性を強調している。

しかし成人の約3分の1が肥満である合衆国において、既にかなり体重超過な人々に、痩せることをあきらめろなどと言える人間はいない。その代わり、より達成可能な目標を人々に説く事の方が解決法として適当であるだろう。研究によれば、5%の体重減少でも、糖尿病や心臓病、肥満に関連する健康問題のリスクを下げることが出来る。小さな体重減少なら、体は喜んで受け入れるのではないかと言う予測も存在している。

しかし5%体重を減らしただけ� ��人は、やはり未だ太った人であるだろう。250ポンドの女性が5%にあたる12ポンド体重を減らしても、服のサイズは同じだろう。数ポンド体重を減らすのは良い事だが、精神的な影響は少なく、太った人の自己認識や他人が受ける印象も殆ど変わらないだろう。


それでは、かなり大きく体重を減らしたいと思っている人間はどうしたらよいのか?体重減少を研究している科学者は、多くの人が減少した体重を維持する事の遺伝的、生物学的困難さを理解すれば、医者や患者は体重減少に対し、もっと現実的で同情的な態度を取るようになると信じている。科学は少なくとも、既に太ってしまった人に対し、さらに体重を増やさない為の努力の必要性を納得させられるだろう。幾人かの人は、体重減少を維持する事の困難さを学び、すべての努力を放棄して過食へ戻ってしまうかも知れない。しかしその他の人は、現在の体重を受け入れて、服のサイズを小さくするよりも、フィットネスや全体的な健康への努力を高めることだろう。

私自身は、体重 減少の科学を理解した事で自分の体重を減らす為の苦闘を理解できるようになった。同時に母の終わりの無いダイエットと体重の増加と落胆を引き起こした理由も理解できた。母がまだ生きていて、ダイエットの失敗について自分を許すよう説得できたら良かったのにと思う。私自身、体重をこんなに増やしてしまった事に対する自己嫌悪は感じるが、体重の増減に対して自分の意志以外の要因がある事は開放感をもたらすものであった。自分の体重を永遠に減らす事が、とてもとても困難であるのは数多くの証拠が示してはいるが、私は驚くほど楽天的だ。この闘いを今月から、あるいは今年から始める準備が出来ているわけでは無い。しかし少なくとも、それがどんなに困難なのかは理解できている。

〜〜ここまで〜〜

次回� �新は2月4日ごろになると思います。



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